What is Conflict of Laws?
国際私法(Private International Law)とは、異なる法律を持つ2つ以上の地域(例えば、日本とフランス)にまたがる法律関係、すなわち渉外事案について、内国、外国どちらの法律が適用されるのかを決定する法です。例えば、図のように、18歳の日本人男性と17歳のフランス人女性が国際結婚したいという場合に適用されるのは、日本とフランスどちらの法か。国際私法はこうした問題を解決する際に用いられます。
「国際私法」という名前の法律は存在せず、日本では、平成19 年に施行された「法の適用に関する通則法」が国際私法として運用されています。なお、各国の立法においては、国際私法としての独立した法律を持つ国もあれば、民法上の一部の規定が国際私法である国もあります。また、国際私法は各国の私法の規定の違いの抵触を解決する法であるため、 抵触法(Conflict of Laws)とも呼ばれます。
「国際私法」という名前の法律は存在せず、日本では、平成19 年に施行された「法の適用に関する通則法」が国際私法として運用されています。なお、各国の立法においては、国際私法としての独立した法律を持つ国もあれば、民法上の一部の規定が国際私法である国もあります。また、国際私法は各国の私法の規定の違いの抵触を解決する法であるため、 抵触法(Conflict of Laws)とも呼ばれます。
How does it differ from other fields?
国際法(国際公法)との違い
国際法は、条約、慣習国際法、法の一般原則などからなる、国家と国家の間を規律する規範です。法源が国家間の合意や慣習であるため、法律のようにそれが守られるための強制力がありませんし、「そもそも国際法は法か?」という問いとも向き合わなければなりません。また、多くの場合、個人はその法主体ではありません。代表的なものとして、武力紛争法や海洋法、国際人権法などがあげられます。
これに対し、国際私法は、私人と私人の間の渉外的(国際的)な法律関係について、どの国(地域)の法を適用すべきかを定める法です。言い換えれば、民法や商法に関する諸問題が法律を異にする二国をまたいで生じた場合につき、妥当な解決策を考えるものです。国際法とは異なり、純然たる内国法である国際私法は、一般に、特定の法律をさし、わが国では「法の適用に関する通則法」がそれにあたります。民法の規定の中に渉外規定を持っている国もあります。
国際取引法との違い
国際取引法は、ある特定の法律を指すのではなく、国際的な取引に関する法律全般を指す広い概念です。国際取引法も国際私法の一部を扱うことがありますが、国際私法の内の物権、保証、法人、あるいは家族法などは扱いません。
国際私法でも、民法や会社法などの渉外的関係に関する規定を扱うことがあります。国際取引法、国際私法共に一部条約も扱い、また、外国の法を比較・検討することも頻繁です。
国際法は、条約、慣習国際法、法の一般原則などからなる、国家と国家の間を規律する規範です。法源が国家間の合意や慣習であるため、法律のようにそれが守られるための強制力がありませんし、「そもそも国際法は法か?」という問いとも向き合わなければなりません。また、多くの場合、個人はその法主体ではありません。代表的なものとして、武力紛争法や海洋法、国際人権法などがあげられます。
これに対し、国際私法は、私人と私人の間の渉外的(国際的)な法律関係について、どの国(地域)の法を適用すべきかを定める法です。言い換えれば、民法や商法に関する諸問題が法律を異にする二国をまたいで生じた場合につき、妥当な解決策を考えるものです。国際法とは異なり、純然たる内国法である国際私法は、一般に、特定の法律をさし、わが国では「法の適用に関する通則法」がそれにあたります。民法の規定の中に渉外規定を持っている国もあります。
国際取引法との違い
国際取引法は、ある特定の法律を指すのではなく、国際的な取引に関する法律全般を指す広い概念です。国際取引法も国際私法の一部を扱うことがありますが、国際私法の内の物権、保証、法人、あるいは家族法などは扱いません。
国際私法でも、民法や会社法などの渉外的関係に関する規定を扱うことがあります。国際取引法、国際私法共に一部条約も扱い、また、外国の法を比較・検討することも頻繁です。
Bar Exam Subject
国際私法は新司法試験の選択科目の一つです。国際関係法(私法系)という名前で、一部取引法も含みますが、ほぼ国際私法そのものだと言って間違いありません。法曹となってからも、渉外事案を扱う際には基本中の基本となる必須の法律です。
Past Seminar Questions
2015年度春学期第3回
設問:
A男(中華民国国籍)とY女(日本国籍)は、中華民国民法982条(「婚姻は公開の儀式および2人以上の証人を有することを要する。」)に従い、日本キリスト教会で2人以上の証人のもとに公開の儀式を挙げて婚姻した。なお、日本法上の婚姻の届出はされていない。また、A・Y間に子供はいない。その後、Aが死亡し(Aの母はすでに死亡)、それからほどなくして、Aの父B(中華民国国籍)も死亡した。X男(中華民国国籍)は、Bの死亡する1週間前に、Bと養子縁組をして其の養子となった者である。Bには、死亡当時X以外に直系卑属はなかった。さて、Aの所有にかかる不動産の相続をめぐり、XとYとの間に争いが起きている。このような場合、Aの財産を相続しうるのは誰か。
なお、中華民国国際私法は、相続および養子縁組について、通則法と同様の規定を有しているが、婚姻の方式については、通則法24条2項および3項本文と同様の規定を持っているものとする。また、中華民国民法によれば、配偶者は常に相続人である。被相続人の子は相続人となるが、そのような者が存在しない場合には、被相続人の一親等内の直系卑属が相続人となるものとする。その他、X・B間の養子縁組は中華民国法上有効なものとして成立している。
2014年度秋学期第1回:
設問1:
訴訟による紛争解決にはない国際商事仲裁の利点とは何か。
設問2:
日本法人Xと米国ニューヨーク州法人Aは、Aによる日本国内でのサーカス公演を内容とする興行契約を締結した。契約書の中には、本件契約をめぐって両者間で紛争が生じた場合、「Xが仲裁を申し立てる場合はニューヨークの米国仲裁協会が、Aが仲裁を申し立てる場合は東京の国際商事仲裁協会が」仲裁手続を行う旨の条項が置かれていた。契約締結交渉は専ら米国で行われ、契約書は英語で、英米法特有の用語を多く用いて作成された。契約書中には、本件興行契約の準拠法を指定する条項はなかった。
Xは、本件興行契約の締結に際してAの代表取締役である米国人Yが詐欺を行ったため、テント設営などのために多大な損害を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。これに対してYは、本件仲裁契約に基づく妨訴抗弁を提出し、訴えの却下を求めている。Yの主張は認められるか。なお、米国法上、本件訴訟は仲裁契約の人的・物的範囲に含まれるが、日本法上は含まれないものとする。
設問:
A男(中華民国国籍)とY女(日本国籍)は、中華民国民法982条(「婚姻は公開の儀式および2人以上の証人を有することを要する。」)に従い、日本キリスト教会で2人以上の証人のもとに公開の儀式を挙げて婚姻した。なお、日本法上の婚姻の届出はされていない。また、A・Y間に子供はいない。その後、Aが死亡し(Aの母はすでに死亡)、それからほどなくして、Aの父B(中華民国国籍)も死亡した。X男(中華民国国籍)は、Bの死亡する1週間前に、Bと養子縁組をして其の養子となった者である。Bには、死亡当時X以外に直系卑属はなかった。さて、Aの所有にかかる不動産の相続をめぐり、XとYとの間に争いが起きている。このような場合、Aの財産を相続しうるのは誰か。
なお、中華民国国際私法は、相続および養子縁組について、通則法と同様の規定を有しているが、婚姻の方式については、通則法24条2項および3項本文と同様の規定を持っているものとする。また、中華民国民法によれば、配偶者は常に相続人である。被相続人の子は相続人となるが、そのような者が存在しない場合には、被相続人の一親等内の直系卑属が相続人となるものとする。その他、X・B間の養子縁組は中華民国法上有効なものとして成立している。
2014年度秋学期第1回:
設問1:
訴訟による紛争解決にはない国際商事仲裁の利点とは何か。
設問2:
日本法人Xと米国ニューヨーク州法人Aは、Aによる日本国内でのサーカス公演を内容とする興行契約を締結した。契約書の中には、本件契約をめぐって両者間で紛争が生じた場合、「Xが仲裁を申し立てる場合はニューヨークの米国仲裁協会が、Aが仲裁を申し立てる場合は東京の国際商事仲裁協会が」仲裁手続を行う旨の条項が置かれていた。契約締結交渉は専ら米国で行われ、契約書は英語で、英米法特有の用語を多く用いて作成された。契約書中には、本件興行契約の準拠法を指定する条項はなかった。
Xは、本件興行契約の締結に際してAの代表取締役である米国人Yが詐欺を行ったため、テント設営などのために多大な損害を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。これに対してYは、本件仲裁契約に基づく妨訴抗弁を提出し、訴えの却下を求めている。Yの主張は認められるか。なお、米国法上、本件訴訟は仲裁契約の人的・物的範囲に含まれるが、日本法上は含まれないものとする。
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